消費税・インボイス

ざっくり解説!インボイス制度の導入で、一番影響を受けるのは誰?

 

 今年の10月1日よりインボイス制度が開始となり、テレビ等でも「インボイス」という単語を頻繁に聞くようになりました。中には、聞きなれないもと思われる方もいるかもしれません。また、私には関係ないと思っている方もいるかもしれません。インボイス制度について、ざっくりと解説いたします。

インボイス制度が導入されて変わることは

 インボイス制度の導入で変わるのは、ざっくりと言えば、「消費税の計算方法」です。

 事業者が消費者から預かった消費税を国に納付する時の納税額の計算方法が変わります。

 そのため、事業を行っていない一般の消費者は、これまで通りで特に変わることはありません。

 消費税を納めていない事業者は、関係ないと考えているかもしれません。しかしインボイスの導入で一番影響があるのは、実は今まで消費税を納めていない小規模事業者なんです。

まずは、消費税の仕組みについて見ていきます。

消費税が国に納付されるまで(簡易)


お客さん:りんごを購入し、りんご代金1000円と消費税80円をお店に払います。

お店:受け取った消費税を国に納付します。

 消費税の負担者は、物やサービスを購入して支払う消費者です。その消費者が支払った消費税を国に納付するのは事業者です。
税金の負担者の納付する者が異なる消費税は「間接税」となっています。

では、取引を少し複雑にしたものを見ていきます。

消費税が国に納付されるまで(理論上の流れ)

お店

 ①お店は商品を仕入れた時に、仕入先に代金と消費税の支払いをします。
  仕入代金500円+消費税40円

 ②その後、商品が売れた時に、売上代金と消費税を受け取ります。
  売上代金1000円+消費税80円

 ③国に納付する消費税は、受け取った消費税から仕入先に支払った消費税を引いた残額となります。
  受け取った消費税80円ー支払った消費税40円=国に納付する消費税40円

仕入先

 ①仕入先は、売上代金500円と消費税40円を受け取ります。

 ④受け取った消費税40円を国に納付します。

税務署(国)

③④お店が納付した40円仕入先が納付した40円計80円が、国に納入されます。

  お客さんが商品を購入した時に支払った80円が国に納入されています。

消費税の問題(インボイス導入前)

 上記のように、お客さんが商品やサービスを購入した際に支払った消費税が国に納付されれば問題ありませんでした。

しかし売上が1000万円以下の小規模事業者については消費税の納税義務免除されているため、小規模事業者が受け取った消費税は国に納付されず事業者の懐に入ります。これが益税とされ問題視されていました。

 ④仕入先が免税事業者の場合、受け取った消費税40円は、国に納付されず事業者の懐に入ります。

③④結果として、お客さんが商品購入時に支払った消費税80円のうち、国に納付されるのは、お店が納付した消費税40円(③)のみとなります。

益税は、消費税率が上がると共に増え、国に収納されるべき消費税が、免税事業者の懐に入るという問題が大きくなりました。

 そこで少しでも益税を減らすために、消費税率10%への改正の際に、インボイス制度が導入されることが決まりました。

インボイス制度が始まったら、どう変わるの?

インボイス発行事業者でない者から仕入れたものについては、受け取った消費税から引くことが出来ません。

㊟売上に係る消費税から仕入に係る消費税を引くことを「仕入税額控除」と言います。

インボイス制度の導入時期

消費税率が10%となった令和1年10月1日から5年間の据え置き期間を経て、令和5年10月1日より、インボイス制度開始となります。

インボイスの記載事項と事前登録

インボイスとは、「適格請求書」のことをいい、適格請求書発行事業者が発行した請求書や領収書のことをいいます。
適格請求書には、記載しなければいけない項目があります。

インボイスの記載事項
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額
  (税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

インボイス(適格請求書)には、適格請求書発行事業者名称登録番号が必要です。
登録番号は、事前に税務署へ申請して付与してもらう必要があります。

インボイス開始の令和5年10月1日からインボイスを発行するためには、令和5年3月31日までに所轄の税務署に申請する必要があります。

注意!消費税の免税事業はインボイスの発行は出来ない!

インボイスの発行が出来るのは、消費税を納めている課税事業者に限られます。
免税事業者がインボイスを発行するためには、消費税の課税事業者になる必要があります。

なぜ?免税事業者はインボイス発行事業者になれないのか?

 インボイス制度とは、仕入税額控除の計算に関わることです。これまでは、領収書やレシートがあり、きちんと帳簿に記載がされていれば仕入税額控除が可能となっていましたが、インボイス制度導入後は、インボイス(適格請求書)がなければ、仕入税額控除が出来なくなります。

インボイス制度が始まると影響を受けるのは誰?

 インボイス発行事業者になるためには、事前に税務署へ登録が必要となっています。登録をすると、売上が1000万円以下の小規模事業者であっても、消費税の課税事業者となり、消費税の申告及び納付が生じます。
 税理士へ税務代理委託すれば、申告についての心配は不要ですし、事業を行っていくうえでのインボイスに関する不明点も税理士にたずねれば、教えてもらえるというメリットがありますが、その分、税理士報酬の支払いが生じます。
 税理士に依頼されない場合は、自分でインボイスについて調べたり、消費税の申告書を作成する必要があり、初めてであれば、大変な部分があり、税理士に依頼出来ない小規模事業者に、影響がでると考えられます。自分で消費税の申告が出来ないのであれば、いっそインボイスの登録をしないというのも選択の一つではありますが、得意先からインボイスの登録を要求される場合もあり、なかなか悩ましいことです。

 国税庁では、コールセンターを設けて、インボイス制度に関する一般的な相談を受け付けているようです。
税理士に依頼されている事業者であれば、依頼している税理士に相談できますが、小規模事業者で税理士に依頼せず、ご自身で確定申告をされている方は、国税庁のコールセンターに相談されるのも一つの方法です。

国税庁のインボイスに関するコールセンターの案内はコチラ

これを機に、税理士を探したいという方であれば、こちらへ。


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