地方税

【個人住民税】セカンドハウスや個人事業主の事務所等が、住所地と異なる地域にある場合~一律に課される個人住民税の均等割

 個人住民税の課税方法は、所得税に準じた処理となっていますが、所得税と異なる部分として、個人住民税には一律に課される均等割があります。
 均等割について、確認していきます。

 個人住民税とは俗称であり、「市町村民税」と「道府県民税」の双方のことを表します。以下、個人住民税と記載するものは市町村民税と道府県民税のこととしています。

個人住民税の種類

 個人に対して課される住民税には、均等割・所得割・利子割・配当割・株式等譲渡所得割があります。
 均等割及び所得割は一定の所得を超える場合に課されます。

個人住民税の均等割とは

 均等割とは、均等の額によって課される道府県民税及び市町村民税をいいます。
 道府県民税の均等割は1,000円、市町村民税の均等割は3,000円とされていますが、平成26年から令和5年までは、東日本大震災からの復興に関して地方自治の防災等に充てるため、道府県民税1,500円、市町村民税3,500円となっています。

個人住民税の均等割

〇平成25年まで
 道府県民税1,000円+市町村民税3,000円=合計4,000円

〇平成26年から令和5年まで
 道府県民税1,500円+市町村民税3,500円=合計5,000円

※自治体によっては、その他財源確保のため別途均等割に加算されている場合があります。各自治体のホームページでご確認ください。

個人住民税(均等割と所得割)の納税義務者

 市町村民税について

 市町村内に住所を有する個人について、均等割額所得割額の合算額が課されます。
(下図、例のB市が該当します。)

 市町村内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で、その市町村内に住所を有しない者については、均等割が課されます。
(下図、例のC市とE市が該当します。)

 

 道府県民税について

 道府県内に住所を有する個人について、均等割額所得割額の合算額が課されます。
(下図、例のA県が該当します。)

 道府県内に事務所、事業所又は家屋敷を有する個人で、その事務所、事業所又は家屋敷を有する市町村内に住所を有しない者については、均等割が課されます。
(下図、例のD県が該当します。)

 

   例

例えば

A県B市に住んでいる個人が、A県C市に個人事務所があり、D県E市にセカンドハウスを持っているとすれば、個人住民税が課税されるのは下記のようになります。

道府県民税
A県……均等割と所得割(生活の拠点)
D県……均等割(セカンドハウス所有)

市町村民税
B市……均等割と所得割(生活の拠点)
C市……均等割(事務所有り)
E市……均等割(セカンドハウス所有)

 

つまり
 生活の拠点となっている住所地と異なる都道府県や市町村に事務所や事業所・家屋敷を有している場合は、その都道府県や市町村の均等割が課税されます。

 なお、生活の拠点となっている住所地と同じ都道府県や市町村に事務所等を有する場合に、均等割が二重に課税されることはありません。
 上図で言えば、A県については、生活の拠点の自宅と事務所がありますが、A県について二重に均等割が課される訳ではありません。

※均等割が課される事務所・事業所等を有しているとは

 自己の所有に属するものであるか否かに関わらず、事業の必要性から設けられた人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われている施設をいいます。
 つまり、自己所有か賃貸かに関わらず、継続的にその施設等で事業が行われている場所が事務所等とされます。

個人住民税の賦課期日

 個人住民税の「均等割」及び「所得割」の納税義務は、賦課期日で判断されます。賦課期日とは、当該年度の初日の属する年の1月1日です。
 元旦は、一年のうち最も異動が少ない日であるため、1月1日が賦課期日となっています。

 個人住民税は、賦課期日現在の住所地にて課税されます。

 例えば、令和2年4月10日にA市からB市に引っ越しをした場合、令和2年6月から課されるのは、令和2年1月1日の住所地であるA市にて住民税が課されます。

㊟個別の税務判断は、税の専門家に相談されることをオススメします。

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