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不動産所得者必見!白色申告 vs 青色申告の計算方法と事業的規模の違いをわかりやすく解説

不動産所得がある方にとって、確定申告は避けられない重要な手続きです。この記事では、白色申告者、青色申告者(事業的規模あり・なし)の計算方法の違いを初心者向けに解説します。この記事では、不動産オーナーが知っておくべき賃貸収入と税金の基本的なポイントを解説します。


不動産所得を得ている方にとって、確定申告は避けて通れない重要な手続きです。特に、白色申告と青色申告の違いを理解して適切に対応することが、節税対策にもつながります。この記事では、不動産所得者が確定申告を行う際の基本的な流れと、計算のポイントを詳しく解説していきます。

賃貸収入にかかる税金の種類

賃貸収入に対してかかる税金は、大きく分けて次の3種類があります。

  • 所得税
    個人所有の不動産から得られる賃貸収入は、個人の所得として扱われるため、所得税が課されます。所得税は累進課税方式で、所得が増えるほど税率も上がります。賃貸経営において発生する賃貸収入から必要経費を差し引いた額が、課税対象となる「不動産所得」として扱われます。
  • 住民税
    賃貸収入によって得た所得に対しても、住民税が課されます。住民税は、所得に応じて決定されるため、所得が多いほど負担も増えます。
  • 固定資産税
    賃貸物件そのものに対しても、毎年「固定資産税」がかかります。これは物件の評価額に基づいて算出される税金で、不動産を所有している限り毎年支払わなければならないものです。

不動産所得の計算の概要

不動産所得は、賃貸収入から経費を差し引いて算出されます。経費には、固定資産税や修繕費、管理費、減価償却費などが含まれます。最終的に、収入から経費を引いた金額が不動産所得として申告されます。

賃貸収入にかかる必要経費

賃貸収入から税金を計算する際、賃貸経営に必要な経費を正確に把握し、控除することが重要です。代表的な経費は以下の通りです。

  • 修繕費
    賃貸物件の修理や維持費は、経費として控除できます。ただし、資本的支出(物件の価値を高める大規模な改修など)は経費として一括控除できず、減価償却資産として扱われます。
  • 減価償却費
    建物や設備の価値は年々減少していくため、その減少分を経費として計上することができます。これを「減価償却費」といい、建物の種類や耐用年数に応じて計算されます。
  • 管理費・仲介手数料
    物件の管理を管理会社に委託している場合、その費用も経費として控除可能です。また、新しい賃借人を募集する際にかかる仲介手数料も経費になります。
  • 借入金利息
    物件購入の際に借り入れたローンの利息部分は、経費として認められています。
  • 固定資産税
    賃貸物件にかかる固定資産税は経費として扱われます。ただし、賃貸物件以外の土地・建物に係る固定資産税は経費になりませんので、納付書と一緒に送付されてくる固定資産税計算書をもとに、賃貸物件に対応する納税額を計算する必要があります。
    ※所得税や住民税は、所得の計算上、必要経費にはなりません。

青色申告と白色申告

賃貸収入に対する税務申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。どちらを選ぶかによって、税務上のメリットが異なります。

白色申告について

白色申告者の計算のポイント

白色申告では、主に次の点に注意が必要です。

  • 収入の記録と必要経費:収入から必要経費を差し引いた額が課税所得になります。計算はシンプルで、帳簿付けの負担も軽いですが、特典や控除が少ないため節税効果が低いです。
  • 計算方法:所得=収入-必要経費。青色申告に比べて控除は少なく、特典もないため、税金が高くなる傾向があります。

白色申告者の不動産所得が赤字になった場合の損益通算

不動産所得が赤字になった場合、他の所得(例えば給与所得)と損益通算が可能です。これにより、税金の軽減効果が期待できますが、注意が必要なのは土地購入のための借入金に係る利子から生じた損失は青色申告の場合と同様に、損益通算の対象にならないという点です。

青色申告について

青色申告者の計算のポイント

税務署より青色申告の承認を受けることにより青色申告による確定申告を提出することができます。青色申告の承認を受けた青色申告者は、より詳細な帳簿管理が必要ですが、青色申告による様々な特典がうけられ、なかでも最も節税効果のあるものが青色申告特別控除です。その青色申告特別控除は、複式簿記による帳簿作成の有無や事業的規模か否かで、控除額が変わるため、規模に応じた計算を正確に行うことが重要です。

  • 計算方法:収入-必要経費-青色申告特別控除(最大65万円)=課税所得。

青色申告者の事業的規模の有無の概要

青色申告者で事業的規模の有無は、規模の大小によって青色申告特別控除の金額が変わります。例えば、5棟以上の賃貸物件または10室以上の賃貸部屋を持つ場合は「事業的規模」となり、最大65万円の控除を受けることができます。事業的規模を満たさない場合は、10万円の控除となります。白色申告者にはないため、青色申告の承認を受けて、要件を満たせば、大きな節税となります。

ただし、期限を過ぎて提出した場合には、青色申告特別控除は10万円となります。

青色申告者で事業的規模なしの場合

黒字のときの青色申告特別控除

事業的規模なしで黒字の場合、青色申告特別控除は10万円の適用となります。

赤字のときの損益通算

事業的規模なしで赤字の場合も、白色申告と同様に他の所得との損益通算が可能です。これにより、他の所得の税負担を軽減することができます。ただし、不動産所得から生じた損失のうち土地購入のための借入金に係る利子から成る部分の損失は白色申告の場合と同様に、損益通算の対象になりません。

青色申告者で事業的規模あり

黒字のときの青色申告特別控除

事業的規模があり、かつ黒字の場合は、最大65万円の青色申告特別控除が適用されます。最大限の控除を受けるためには、複式簿記による詳細な帳簿付けを行い、電子申告による提出を行うことで、確定申告時にしっかりと控除を受けることが可能となります。

赤字のときの損益通算

事業的規模ありで赤字となった場合も、損益通算が可能です。特に、経費が多く発生した場合、他の所得と損益通算することで、最終的な税負担を軽減することができます。ただし、不動産所得から生じた損失のうち土地購入のための借入金に係る利子からなる部分の損失は白色申告の場合と同様に、損益通算の対象になりません。

青色申告者と白色申告者の不動産所得の計算における共通点

白色申告者と青色申告者での計算には共通点もあります。どちらも基本的な収入と必要経費の差額を所得として申告する点は同じです。

  • 共通点1:収入から必要経費を差し引いて所得を計算
     不動産所得は「収入-必要経費」で計算され、これは白色申告者、青色申告者のどちらでも同じです。
  • 共通点2:損益通算の適用
     赤字の場合、一定の制限はありますが、不動産所得が赤字なら損益通算を使って他の所得と相殺できるという点は両者共通です。
  • 共通点3:土地取得費や利息の扱い
     白色申告、青色申告のいずれにおいても、土地の取得費や借入金の利息は損益通算の対象外です。
  • 共通点4:青色申告の事業専従者給与又は白色申告者の事業専従者控除は、不動産貸付けが事業的規模がある場合にのみの適用となります。

税務対策のポイント

最後に、不動産オーナーとして税務対策をしっかり行うためのポイントを紹介します。

  • 税理士への相談
    税金に関する専門的な知識を持つ税理士に相談することで、最適な節税対策を講じることができます。税理士は最新の税制改正にも精通しているため、適切なアドバイスが得られるでしょう。
  • 定期的な税務見直し
    賃貸経営は年々変化するため、毎年の税務を定期的に見直し、最適な税務処理を行うことが重要です。
  • 記帳の正確さを保つ
    経費の計上漏れや不正確な記帳は、後々トラブルにつながることがあります。日々の経費管理や収入記録をしっかり行い、必要な書類を整える習慣をつけましょう。

まとめ

不動産所得者の確定申告は、選択する申告方法や事業の規模によって大きく変わります。白色申告はシンプルですが節税効果が低く、青色申告は帳簿付けが求められるものの、控除額が大きくなります。自分の状況に合った申告方法を選び、最大限の節税を目指しましょう。

No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分

No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算

No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

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