保険金を受け取った場合、受け取った保険金の種類によって、税金がかかるものとかからないものがあります。
また、被保険者、保険料の負担者と保険金の受取人の関係により、課税される税金の種類が異なります。
受け取った保険金の税金は、どうなるの?
状況に応じて、課税される税目が異なります。
税金がかからない保険金・給付金
受け取った保険金は、どのような内容の契約で保険が下りたかをみて、保険が下りるような事象が生じるかどうか不透明な保険金の受取りは、たいていの場合、税金がかからない保険金に該当すると考えられます。
例えば、入金給付金をみると、入金給付金を受け取るときは、病気等を発症し、入院したことによって保険金が支払われます。入院という不慮の事象が生じなければ、受け取ることはない保険金であり、入院保険の加入者が必ずしも受け取る保険ではないものです。このような保険金は、見舞金のような性質を持っており、税金がかからない保険金・給付金に該当します。
税金がかからない保険金・給付金の一例は次のモノです。
〇 入金給給付金
〇 手術給付金
〇 通院給付金
〇 傷害保険金
〇 先進医療給付金
〇 高度障害保険金
〇 就業不能保険金
〇 がん診断給付金
〇 特定疾病保険金
〇 リビングニーズ特約保険金
〇 介護保険金 など
また、下記の損害保険金の受取りも、税金がかからない保険に該当します。事故が原因で支払われる保険金は、損害賠償金の性質をもっており、税金がかからない保険金・給付金がに該当します。
〇 火災保険金
(個人の自宅や家財の損害により支払われるものに限ります。事業用家屋や棚卸資産の損害により支払われる火災保険金は課税対象です。)
〇 自動車保険の対人賠償保険、対物賠償保険、人身傷害保険、搭乗者傷害保険、車両保険 など
税金がかかる保険金・給付金
税金がかかる保険金は次のものが該当します。
〇 死亡保険金
〇 満期保険金
〇 個人年金保険
〇 解約返戻金
税金がかかる保険金の受取りは、保険の種類と、保険料を支払った者と受け取った者が誰かによって、「所得税」「贈与税」「相続税」の税目が異なります。
金融類似商品に該当する保険は源泉分離課税となり、確定申告不要
金融類似商品に該当する保険金を受け取った場合は、受取金額と払込保険料の差益に対して20.315%(所得税15%、復興所得税0.315%、住民税5%)の税金を保険会社が差引き、残額が受取人に支払われます。
源泉分離課税された時点で課税関係は完了しているので、確定申告は不要となります。
金融類似商品とは、保険期間が5年以下のものや、5年を超えるもので5年以内に解約された一時払養老保険や一時払損害保険、一時払個人年金保険で一定の要件を満たすものの差益です。
国税庁 タックスアンサー No.1520 金融類似商品と税金
死亡保険金の受取りと税金
死亡保険金を受け取った場合は、被保険者、保険料の負担者、保険金の受取人が誰かによって、「所得税」「贈与税」「相続税」のいずれかが課されます。
上図でいうと、死亡保険金の受取りは、被保険者である父が亡くなった場合に保険契約の受取人(①②は母、③は子)に支払われます。
保険料負担者と保険金の受取人の関係により、課される税目が異なります。
① 死亡保険金を受け取って、所得税が課される場合
(例…被保険者:父、保険料負担者:母、保険金受取人:母)
保険料の負担者と保険料の受取人が同一人物(母)となっています。この場合は、受取人(母)に所得税が課されます。
死亡保険金を一時金で受領した場合は一時所得となります。他に一時所得に該当するものがなければ、受け取った保険金から払込保険料を差し引いた残額に、一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額の2分の1が課税対象となります。
受け取った保険料から払込保険料を差し引いた金額が50万円以下である場合は、一時所得は生じません。
受け取った保険金を年金で受領した場合は、受け取った保険金から払込保険料を差し引いた金額が雑所得として課税されます。
② 死亡保険金を受け取って、相続税が課される場合
(例…被保険者:父、保険料負担者:父、保険金受取人:母)
被保険者と保険料負担者が同一の場合で、被保険者が亡くなって死亡保険金を受け取った場合は、相続税の対象となります。
死亡保険金の受取人が相続人である場合は、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が非課税限度額を超える場合に、その超える部分が相続税の課税対象となります。
死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
※法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかった場合の相続人の数です。
相続人以外の者が死亡保険金を受け取った場合は、遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
この場合は、死亡保険金の非課税の適用はありません。また、相続人が相続を放棄した場合も同様に、死亡保険金の非課税の適用はありません。
相続税の申告は、相続財産の総額が相続税の基礎控除額以下であれば、申告不要となります。
※ 相続税の基礎控除=3000万円+相続人の人数×600万円
相続人が2人の場合は、3000万円+2人×600万円=4200万円となり、
相続した財産が4200万円以下であれば、相続税の申告は必要ありません。
③ 死亡保険金を受け取って、贈与税が課される場合
(例…被保険者:父、保険料負担者:母、保険金受取人:子)
被保険者、保険料の負担者、保険金の受取人が異なる場合は、保険料の負担者から保険金の受取人に対して贈与があったものとして贈与税が課税されます。
なお、保険契約者の名義変更のみでは、贈与税は課税されません。保険契約者ではなく、保険料負担者が誰かにより課税関係が判断されるためです。
No.1750 死亡保険金を受け取ったとき
No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
保険の満期返戻金・解約返戻金と税金
①満期保険金等を受け取って、所得税が課税され場合
(例…保険料負担者:夫、保険金受取人:夫)
保険料の負担者と保険料の受取人が同一人物(夫)となっています。この場合は、受取人(夫)に所得税が課されます。
満期保険金を一時金で受領した場合は一時所得となります。他に一時所得に該当するものがなければ、受け取った保険金から払込保険料を差し引いた残額に、一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額の2分の1が課税対象となります。
受け取った保険料から払込保険料を差し引いた金額が50万円以下である場合は、一時所得は生じません。
受け取った保険金を年金で受領した場合は、受け取った保険金から払込保険料を差し引いた金額が雑所得として課税されます。
②満期保険金等を受け取って、贈与税が課税される場合
(例…保険料負担者:夫、保険金受取人:妻)
保険料の負担者、保険金の受取人が異なる場合は、保険料の負担者から保険金の受取人に対して贈与があったものとして贈与税が課税されます。保険会社を通じて、お金が保険料負担者の夫から保険金受取人の妻に流れています。つまり夫から妻に金銭の贈与をしたと判断できます。そのため、保険料負担者と保険金の受取人が異なると贈与となるのです。
なお、保険契約者の名義変更のみでは、贈与税は課税されません。保険契約者ではなく、保険料負担者が誰かにより課税関係が判断されるためです。