法定相続情報証明制度を利用することで、相続手続きに必要な書類の提出を簡略化できますが、具体的な手順や必要書類を理解しておくことが大切です。ここでは、制度を利用するための手続きの流れと必要な書類について詳しく説明します。
手続きの流れ

- 戸籍謄本や除籍謄本など必要書類の収集
相続手続きを行うためには、まず被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本)を集める必要があります。また、相続人全員の戸籍謄本も必要です。被相続人と相続人の関係が分かる書類を収集します。 - 相続関係説明図の作成
被相続人と相続人の関係を明確に示す「相続関係説明図」を作成します。これは、いわゆる家系図のような形式で、誰が相続人に該当するかが一目でわかる図です。この図は、法務局に提出するための重要な書類となります。 - 申請書の作成
「法定相続情報一覧図の写しの交付申出書」という申請書を作成します。この申請書には、申請者(相続人代表者)の情報や相続人全員の情報、提出書類の概要などを記入します。 - 法務局への申請
収集した戸籍謄本や相続関係説明図、申請書を法務局に提出します。この時、法務局は提出された書類を基に「法定相続情報一覧図」を作成し、それを認証します。 - 法定相続情報一覧図の取得
法務局が作成した法定相続情報一覧図は、相続手続きで必要な各機関に提出するための書類として使用できます。通常、手続き完了後、複数の写しを無料で交付してもらえるため、相続の手続きを同時に進めやすくなります。
必要書類

- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本や除籍謄本をすべて揃える必要があります。これにより、被相続人がいつどこで生まれ、誰と家族関係があるかが確認されます。 - 被相続人の住民票の除票または戸籍附票
被相続人の死亡時点での住所を証明するために、住民票の除票や戸籍附票を取得します。これにより、正確な相続手続きを進めることができます。 - 相続人全員の戸籍謄本
相続人であることを証明するために、相続人全員の戸籍謄本を提出する必要があります。この戸籍により、相続人が法定相続人であることが確認されます。 - 相続関係説明図
上述の通り、相続人と被相続人との関係を明示するための相続関係説明図を提出します。これは、家系図のようなもので、被相続人の子供や配偶者、兄弟姉妹などの関係がわかるように作成します。
※相続関係説明図の作成は、手書きでもパソコン入力でも構いません。また、決まった形式はありませんが、法務局のHPにエクセルの様式がありますので、そちらを利用すると容易に作成が可能です。 - 申請書(法定相続情報一覧図の写しの交付申出書)
法務局への申請に際して必要な申請書です。この申請書には、申請者(相続人の代表者)に関する情報を記載し、手続きの依頼を行います。
手続きにかかる時間と費用

通常、法定相続情報一覧図の交付には数日から1週間程度かかります。ただし、相続関係が複雑だったり、書類に不備があったりする場合はさらに時間がかかることもあります。また、戸籍謄本や除籍謄本の取得にはそれぞれ費用がかかりますが、法定相続情報一覧図の交付自体は無料です。
注意点

- 書類の不備に注意
戸籍謄本や除籍謄本が不完全だと手続きが遅れる可能性があります。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を漏れなく揃えることが重要です。 - 複数の機関で手続きが必要な場合
銀行、不動産、税務署など、相続手続きは複数の機関にまたがることが多いですが、法定相続情報一覧図を使用することで、同じ書類を何度も提出する手間を減らせます。ただし、すべての機関でこの制度が適用されるわけではないため、事前に確認しておくことが大切です。 - 被相続人や相続人が日本国籍がない場合
法定相続情報制度は、日本の相続手続きを簡略化するための制度で、相続人の確定を戸籍謄本などで行います。被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、戸除籍謄抄本を提出することができない場合は、本制度を利用することができません。
まとめ

法定相続情報証明制度を利用することで、煩雑な相続手続きを効率化し、必要書類の数を減らすことができます。手順としては、まず戸籍謄本の収集から始め、法務局で申請する流れですが、正確な書類の準備が鍵となります。手続きが円滑に進むよう、必要な書類をしっかり確認し、早めの準備を心がけることが大切です。
こちらの関連記事もどうぞ