青色申告控除は、個人事業主が青色申告をすることで受けられる税制優遇のひとつです。正しい帳簿付けを行い、要件を満たすことで、所得金額から一定額を控除することができます。青色申告の選択は、個人事業主の節税方法にあげられます。ただし、正しく摘要しなければ、青色申告の取り消しをされる場合があります。正しく申告して、青色申告の特典を活用することが大切です。今回は、特に「青色申告特別控除」について詳しく解説し、どのように節税できるのかを理解してもらいます。
1. 青色申告特別控除とは
青色申告特別控除は、個人事業主やフリーランスが青色申告を行う際に受けられる控除の一つです。青色申告をすることで、所得から最大65万円を控除することができるため、所得税や住民税を大幅に減らせるメリットがあります。
青色申告を行うためには、正確な帳簿の作成が必要ですが、これにより税務署からの信頼度が上がることもあり、青色申告者には他にもさまざまな税制優遇が用意されています。その中でも、青色申告特別控除は節税効果が最も大きいものです。
国税庁:No.2072 青色申告特別控除
2. 青色申告承認申請書の提出
青色申告をするためには、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。これは、新たに事業を始めた場合や青色申告を選択しようとする年度の3月15日までに提出しなければなりません。この手続きを忘れてしまうと、その年度は青色申告ができず、特別控除を受けられないため、早めの準備が大切です。
また、事業開始が1月16日以降の場合には、その年の開始日から2ヶ月以内に申請書を提出すれば、その年から青色申告が適用されます。
3. 青色申告特別控除の金額は10万円、55万円、65万円があり、金額の違いによる適用要件が異なります
青色申告特別控除の金額は、控除を受けるための条件によって異なり、10万円、55万円、65万円の3種類があります。
青色申告特別控除の金額を選ぶ際には、どの程度手間をかけるかがポイントとなります。それぞれの控除額の要件は以下の通りです。
- 10万円控除の要件
複式簿記を使わず、簡単な単式簿記を採用した場合でも10万円控除を受けられます。基本的には簡単な帳簿を作成しており、電子申告を利用しない事業者が対象です。
また、事業所得がなく不動産所得がある方が、青色申告を適用した場合、所有する賃貸用不動産が事業的規模に満たない場合には10万円控除のみの適用となります。
※不動産所得の事業規模とは、おおむね5棟10室以上である場合に事業的規模があると判断されます。
No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分
- 55万円控除の要件
複式簿記で帳簿を作成し、貸借対照表と損益計算書を税務署に提出する必要があります。電子申告を利用しないか、紙で申告書を提出する場合でも55万円控除が可能です。確定申告期限(3月15日)を過ぎて提出した場合には、55万円控除は受けられません。 - 65万円控除の要件
最も高い控除を受けるには、複式簿記の作成と電子申告の併用が必須です。また、書類の提出や保存義務もありますが、その分最大の節税効果が得られます。(電子申告を行わず、優良な電子帳簿を保存している場合にも65万円控除は可能です。この場合、事前に税務署に届出が必要となり、電子申告を行うことに比べると、要件が厳しくなります。)優良な電子帳簿の要件
確定申告期限(3月15日)を過ぎて提出した場合には、65万円控除は受けられません。
※市販の会計ソフトを利用して帳簿を作成している場合は、55万円控除又は65万円控除の適用するための複式簿記による帳簿作成が可能です。
4. 青色申告と白色申告の違いは何?
青色申告と白色申告は、個人事業主が選べる2つの申告方式です。それぞれに特徴がありますが、大きな違いは税制優遇の有無です。
- 青色申告の特徴
青色申告では、複式簿記を使い正確な帳簿を作成することで、青色申告特別控除や赤字の繰越控除、家族への給与(青色事業専従者給与)を経費として計上できるなど、さまざまな特典があります。そのため、手間はかかりますが、節税効果が非常に高いです。 - 白色申告の特徴
白色申告は、青色申告に比べて手続きが簡単で、特別な控除や条件もありません。しかし、節税効果が少なく、事業が順調に成長するにつれて不利になることが多いです。
6. 青色申告は選択した方がいいの?
個人事業主であれば、青色申告を選択することを強くおすすめします。青色申告の最大のメリットは、やはり青色申告特別控除による節税効果です。65万円の控除を受けることができるなら、その分所得税や住民税が軽減されます。
また、将来的に事業が大きくなり、収入が増加した際にも、青色申告をしていれば赤字の繰越しができるなどの特典があります。手間を惜しまなければ、青色申告は長期的な利益をもたらす選択肢です。
7. まとめ
青色申告特別控除は、個人事業主やフリーランスにとって非常に有利な制度です。10万円、55万円、65万円の3種類の控除額があり、適用要件も異なりますが、正確な帳簿を作成し、電子申告を行うことで最大限の節税効果を得られます。
特に、65万円控除を目指す場合には、複式簿記の知識が必要ですが、それに見合った大きな節税効果が得られるので、青色申告を選択する価値は十分にあります。正しい申告を行い、事業の成長をサポートするために、青色申告特別控除を活用していきましょう。