アルバイトをしながら学校に通っている方は、親の扶養に入っている方が多いのではないでしょうか。
税金の面で親の扶養に入れる範囲は、給与収入であれば103万円となっているので、扶養の範囲内でアルバイトをしている方が多いと思います。
しかし、気が付いくと、103万円を超えてしまっていたということがある方もいるのではないでしょうか。
学生バイトの方が、103万円を超えた収入を得た場合は、どうすればよいのでしょうか。
扶養の範囲
扶養に入れるのは、生計を一にしている親族で、青色専従者等を受けておらず、年間の所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入103万円以下)とされています。(令和2年以降)
(注)出国とは、納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいいます。
(1) 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいいます。)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2) 納税者と生計を一にしていること。
(3) 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
(4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
親の扶養に入っていた子のバイト収入が103万円を超えると、親の扶養から外れてしまいます。そのため、扶養としていた親の所得が増え、年税額が増えることとなります。
勤労学生控除の申告で節税
給与収入が103万円を超えると、要件を満たせば、勤労学生控除の適用を受けることにより節税が出来ます。
勤労学生控除とは
「勤労学生控除」は、アルバイトをしている学生で一定の要件を満たす場合、年末調整や確定申告にて、適用を受けることが出来る所得控除のひとつです。
勤労学生控除の適用を受けられる要件
・給与収入が130万円以下(給与所得75万円以下)で、給与以外の所得10万円以下であること
・特定の学校㊟に通っている生徒・学生であること
- 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
- 国、地方公共団体、私立学校法に規定する学校法人、これに準ずる一定の者により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
- 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの
以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してください。
年末調整にて勤労学生控除の適用を受けるには
年末調整の「給与所得者の扶養控除等申告書」に「勤労学生控除」の適用を受けるための記入を行います。
勤労学生の適用を受ける場合には、勤労学生のボックスに✔マークを入れて、右側の欄に、学校名と入学年月日及び所得の種類とその見積額を記載します。
勤労学生控除の記載事項となっている「所得の見積額」とは
給与収入のみである場合には、給与収入から給与所得控除額である55万円(令和2年以降)を控除した金額が給与所得となります。
例えば、バイトの収入が130万円であれば、130万円から55万円を引いた75万円が給与所得となります。給与収入が130万円を超えた場合には、勤労学生控除の適用を受けることは出来ません。
年末調整で勤労学生控除を受けるための添付書類は
専修学校、各種学校又はいわゆる職業訓練学校の生徒等の場合には、在学する専修学校の長等から必要な証明書の交付を受けて扶養控除等申告書に添付する必要があります。
学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校などの学生・生徒である場合には、証明書の添付をする必要はありません。
年末調整で勤労学生控除の申告をし忘れてしまった場合
翌年の3月15日までに確定申告をすることで、勤労学生控除の適用を受けることができます。
確定申告の際、専修学校、各種学校又はいわゆる職業訓練学校の生徒等の場合には、在学する専修学校の長等から必要な証明書の交付を受けて申告書に添付するか、又は申告書を提出する際に提示する必要があります。
e-Taxで確定申告書を提出する場合には
e-Taxで確定申告書を提出する場合には、「勤労学生控除の証明書」について提出又は提示に代えて、その記載内容を入力して送信することができます。この場合には、確定申告書の控えと共に、法定申告期限から5年間保存しておく必要があり、税務署から提示を求められた場合には、提出する必要があります。
勤労学生控除を確定申告でする場合
所得税の確定申告書 第二表
確定申告書の第二表の左側の真ん中あたりの「本人に関する事項」の「勤労学生」のところに〇印を記入します。
通勤している学校等が、”専修学校、各種学校又はいわゆる職業訓練学校の生徒等”で、”年末調整にて勤労学生控除の申告をしていない”場合には、「年調以外かつ専修学校等」に✔マークをつけ、学校から交付された証明書を添付します。
年末調整で勤労学生控除の申告をしている場合は✔マークも証明書の添付も不要です。
所得税の確定申告書 第一表
合計所得金額から控除される勤労学生控除は27万円となります。
まとめ
子を扶養としていた親が、年末調整後に、子の所得が48万円を超えていて扶養出来ないことが判明した場合、年末調整のやり直しが出来る時期であれば、勤務先にて年末調整のやり直しをしてもらうこととなります。年末調整のやり直しが出来ない時期であれば、所得税の確定申告を行い、不足している納税額を納付します。
親の扶養に入っていた子が、扶養の範囲を超えて所得を得た場合には、給与所得者である場合で、勤労学生の要件を満たすようであれば、年末調整もしくは確定申告にて、「勤労学生控除」の適用を受けることで、節税となります。
👇参考:国税庁
㊟個別の税務判断は、税の専門家である税理士に相談されることをオススメします。