消費税の申告により還付を速やかに受けるための注意点があります。
消費税が還付される2つの原因とは何か
一つ目は、予定納税額が年税額よりも多かった場合の還付です。
予定納税額は、前課税期間の納税額をもとに算出されます。この予定納税額を年税額から差し引いて確定申告による納税額が算出されます。
確定申告による納税額=年税額ー予定納税額
年税額よりも予定納税額が多い場合には、確定申告書の提出により税額が還付されます。これは消費税のみならず、法人税や所得税についても同様です。予定納税は、前払いとして概算で計算して納める税金のため、確定申告時に計算し、確定した年税額より予定納税額が多い場合は、税金を払い過ぎになっているため、その分が還付されるのです。
二つ目は、売上に係る消費税より仕入に係る消費税が多い場合の還付です。
消費税の原則課税による課税事業者についてのみ適用される還付です。
簡易課税制度による場合は、売上に係る消費税にみなし仕入れ率を乗じて、仕入に係る消費税を算出します。そのため簡易課税制度による場合には、必ず納税申告となり還付申告は生じません。
また、消費税の免税事業者については消費税の納付もなければ、還付が生じることもありません。
この記事で見ていく消費税の還付は、後者の二つ目の原因による還付についてのものとなります。
消費税の還付の要因
売上に係る消費税額より仕入に係る消費税額が多く、還付になる場合の原因は、2つあります。
一つ目は、輸出等を行っている業者の場合です。
輸出取引は、課税売上に該当しますが、売上に係る消費税率は0%となります(免税取引)。
例えば、国内で10%で仕入れた商品を、海外に0%で輸出するのです。そのため、売上に係る消費税より仕入に係る消費税が多くなり、消費税が還付されるのです。
輸出業者は、早期に消費税の還付を受けるために、消費税の課税期間を短縮している業者が多いです。課税期間の短縮は3月短縮と1月短縮があります。課税期間を短縮することにより、早めに還付を受け、資金の有効活用が可能となります。
二つ目は、大きな設備投資をした場合です。
消費税の還付を受けるほどの設備投資とは、事業所や工場の建設、高額な機械装置や特殊車両の取得などが考えられます。
免税事業者は、設備投資をしても、消費税の還付を受けることは出来ません。そのため、免税事業者が高額の設備投資を予定している場合には、設備投資をする課税期間(事業年度)が始まる前に、「消費税の課税事業者選択届出書」を税務署に提出し、課税事業者になる必要があります。
消費税の免税事業者は、納税義務はありませんが、還付を受ける権利もありません。
確定申告書を提出する場合の注意点
輸出業者が消費税の還付を受ける場合の注意点
輸出等に係る書類がきちんと保存されている必要があります。輸出業者については、継続的に消費税の還付がされるため、定期的に税務調査が行われます。調査では、輸出取引に係る書類等が保存されているか、帳簿と書類等の内容に違いがないかなどが確認がされます。輸出取引に係る書類とは、次の書類です。
○輸出許可通知書
○インボイス等の写し
これらの書類等が保管されていない場合には、還付が認められないということもあります。
また、確定申告書の提出の際には、輸出取引に係る書類等の提出が求められることがあります。
設備投資をして消費税の還付を受ける場合の注意点
設備投資等をした場合には、その取得した固定資産等の取得時期を間違えないようにする必要があります。固定資産等の取得は、引き渡し日が課税仕入れの日となります。また、取引が確認できる資料として、次の書類を保管しておく必要があります。
○固定資産等の取得に係る契約書や請求書等
○取引に係る金銭授受が確認できる領収書や振込明細書等
税務調査の際には、必ず確認されるものとなります。
確定申告書の提出の際に、固定資産等の取得に係る書類等の提出が求められることがあります。
還付を速やかに受け取るために
税務署は、税額の還付の際、事実確認をしてから還付処理を行うようです。還付申告となる原因の確認が取れないような場合は、還付処理が保留されるようです。速やかに還付を受けるために、確定申告書の提出時に、還付原因が確認できる書類を添付しておくことがいいようです。