地方税

個人住民税の納期と納入方法

個人住民税の納付方法

 個人住民税の納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」とがあります。

特別徴収とは

 特別徴収とは、給与の支払いをしている事業者が特別徴収義務者となり、従業員の給与から住民税を差し引き、給与支払者である事業者が、市町村に納入する方法です。
 また、65歳以上の公的年金受給者で個人住民税の特別徴収対象者については、公的年金の支払いをする年金保険者(社会保険庁など)が特別徴収義務者となり、公的年金から個人住民税を引き落とし市町村に納入します。

普通徴収とは

 普通徴収とは、個人住民税の納入を納税者自ら行う方法です。個人事業主の方や、退職された方など、特別徴収による方法が出来ない方は、普通徴収による方法を行うことになります。
 普通徴収の場合には、5月末から6月中旬ごろまでに、納税者の住所地の市町村から、個人住民税の納税通知書が送られてきます。退職された方については、退職後、次の住民税の納期限までの間に送られてきます。
 納税者ご自身にて、送付された納税通知書をもって金融機関等にて納入(引き落としの手続きをしている場合は口座引き落とし)します。

個人住民税の納期

 特別徴収と普通徴収では、個人住民税の納入の回数が異なります。

特別徴収による納付の場合の納入

 給与所得者の個人住民税は、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます。ただし、納税額が均等割相当額以下である場合には、6月中となっています。
 特別徴収義務者である給与支払者は、原則、従業員から徴収した住民税を、徴収した月の翌月10日までに、従業員の住所地の市町村に納入します。
 なお、従業員が常時10人未満の事業所については、市町村に申請して承認を受けることにより、年12回の納期を年2回とする納期の特例もあります。
 納期の特例の場合には6月~11月までの月割額を12月10日までに納付し、12月~翌5月までの月割額を翌6月10日までに納入します。

普通徴収による場合の納入

 6月、8月、10月、翌1月の年4回に分けて納入します。ただし、納税額が均等割相当額以下である場合には、6月中となっています。

個人住民税の均等割とは

 個人住民税の標準税率の場合の均等割は、道府県民税1,000円と市町村民税3,000円の計4,000円です。ただし令和5年までは復興特別税が上乗せされ、道府県民税3,500円と市町村民税1,500円の計5,000円となっています。

個人住民税の納付先

 個人住民税は、1月1日現在お住まいの市町村にて課税、徴収されます。
そのため、年の途中で引っ越しをしたとしても、6月から翌5月までの住民税は、その年の1月1日現在の住所地の市町村に納入することとなります。
 イメージ図

事業者による給与支払報告書の提出義務

 給与の支払いをしている事業者は、1月31日までに、従業員の前年中の給与所得等を記載した給与支払報告書を、その従業員の住所地の市町村に提出しなければなりません。
 前年において中途退職した従業員についても、給与支払報告書を提出する必要があります。
 市町村は、提出されたこの給与支払報告書(又は所得税の確定申告)にて、個人住民税の計算を行い、課税していきます。

事業者による従業員の住民税の特別徴収義務

 従業員を雇用している事業者は、源泉所得税と同様、従業員の個人住民税についても特別徴収をして納付しなければなりません。
 個人住民税の特別徴収は、法令により定められた事業主の義務となっています。

従業員が退職等した場合に事業者が行う手続き

 退職、休職など、従業員に異動があった場合は、異動が生じた月の翌月10日までに「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を、市町村に提出する必要があります。
 従業員が6月~12月に退職などされる場合には、残りの住民税の徴収を従業員の申出により一括徴収することができます。一括徴収しない場合は、後日、従業員の住所に納税通知書が送付されますので、従業員ご本人が直接納税(普通徴収)することとなります。
 従業員が1月~4月に退職などされる場合には、従業員の申出の有無にかかわらず、残りの住民税を必ず一括徴収して、特別徴収義務者が納入することとなります。

 また、給与支払報告書提出後、退職等にて4月1日現在に在籍していない従業員等がいる場合は、4月15日までにその旨を区市町村長に届け出る必要があります。

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