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【FP1級実技試験】実際に受けた面接の内容を紹介~PART2・不動産~

 FP1級の実技試験(2023年2月5日)を受け、無事に合格することが出来ました。FP1級の実技試験(きんざいの面接)については、模範解答は公表されていないため、これからFP1級の実技試験(面接)を受験される方に向けて、前回のPART1に引き続き、私が面接で答えた内容を紹介します。覚えているものだけなので、完全復元とはいきませんが、参考にしていただければと思います。

Part2 不動産~高額で土地建物を買い取って欲しい

 相談者Aさんは、甲土地の一部と甲土地上にある甲建物の一部を所有している。甲建物は10年前にAさんの父親が亡くなった際に相続したものです。
 Aさんは3兄弟の次男であり、長男Cさんと三男Bさんがいて、父親が亡くなった際に、甲土地は、分筆したうえで、A・B・Cそれぞれの単独所有とし、また甲建物は3分の1ずつの共有持ち分として相続している。

 甲建物は、店舗や事務所として貸している賃貸ビルであり、次男Aさんと三男Bさんが共同で経営している不動産管理会社が、諸経費と管理費を控除して残りの所得をAさん・Bさん・Cさんに均等に配分している。

 そして、1年前に長男Cさんが事故により急死し、Cさんの妻Dさんが甲土地の一部(甲-3)と甲建物の持ち分3分の1を単独で相続している。

 先月、AさんとBさんのもとに、Dさんの代理人の弁護士Eさんが現れ「甲土地(甲‐3)と甲建物の持ち分3分の1を、総額1億円で買って欲しい」との申し出があった。もし買い取ってもらえないければ、Dさんは第三者に譲渡すると言っているという。

令和5年2月5日PART2

実際の面接の内容を紹介

示された情報の他にどのような情報が必要か。

1億円もの高額な金額で土地の買い取りという話がでているが、Aさんから直接話を聞いて確認することは何ですか。

・甲土地の取得費に関する書類があるかどうか。
・相続時の申告書等があるか。
・相続時にそれぞれの所有場所となった経緯について。
・不動産管理会社の財務状況について。

1億円もの買い物をしなくてはならなくなりそうなんだけど、他に何か聞いておくことない?

面接官が聞きただしたい答えが何か分からずにいました。問題に、AさんとBさんは長男Cさんのこと嫌いだったって書いてあったことぐらいしか思いつかない・・・。確信に気づかず。

兄弟仲です。

いや、それもそうかもしれないけどね、ほら、1億円もの買い物をするんだよ。

アシスト発動です。「お金」とかも言ってくれたような気もします。そこで、気が付く。

はい、現金預金等、資産状況を確認します。

そうだよね。資産状況がどうなっているのか大事だよね。

こういうのを、アシスト無しで答えられると、ファインプレー(加点)になっていたんじゃないかと思いました。
(加点形式かどうかは分かりませんが・・・・)

じゃあね、FPであるあなたが調べて確認することがあると思うけどね、手っ取り早く、1億円の金額の妥当性について調べるならどこに行く?

はい、宅地建物取引業士、宅地建物取引業者です。

そうさね、不動産屋さんで聞けば分かるよね。
じゃあね、その他に行って調べることはない?

現地に行って、現地の状況を確認します。
謄本等の公簿資料を確認して、権利関係を確認します。

そうだね。登記事項証明書で確認するね。それはどこに行って確認するの。

法務局です。

そうだね。法務局だね。
あと、1か所行って確認したいことがあるけど、何かな。

(2~3秒考えて)
市役所に行って(たどたど)
都市計画等がないかを確認します。

そうだね。都市計画なんかがあるか確認するよね。

提示された1億円で甲土地の一部と甲建物を買った方がいいのか。1億円の金額の妥当性は?

今回ね、1億円で買ってくれと言われてね、どう思う?
はい、そうですかってなる?

いえ、1億円は高いと思います。
もし、第三者に売却するとした場合の取引価額を調べて、金額を提示します。

この時、もう1人の面接官の反応が良かったと感じ、「よし」と手応え感じた。

そうだね。第三者との取引なら、妥当な金額になりそうだね。じゃあね、その取引価額は誰に言って調べるの?

はい。不動産鑑定士にお願いします。

そうだね。不動産鑑定士が、今回の肝になりそうだね。
じゃあね、義理のお姉さん(長男Cの妻D)は、何で1億円なんて金額を言ってきたと思う?

売手(義理のお姉さん)の立場で考えると、この地区の1㎡あたりの時価から、Dさん保有分の面積を掛けると約8,000万円となり、建物については6,000万円の時価のうち持ち分の3分の1に相当する金額が2,000万円となるため、8,000万円と2,000万円を足した1億円としてきたと考えられます。

甲-3土地
価格水準(相場価格):1,815,000円/㎡と問題にあり、Dさん所有甲‐3土地の面積45㎡とあるので、15分の問題確認の際に計算してメモをしておいた。
1,815,000円×45㎡=81,675,000円(約8,000万円)

甲建物
固定資産税評価額(2022年度):6,000万円と問題にあるのを15分の問題確認の際にチェック済み。
6,000万円×持ち分3分の1=2,000万円

メイン道路と側道とで、ずいぶんと路線価の金額が異なるけど、これは何でかな?

メイン道路は13mの幅員に対し、側道は4mと狭いためです。

確信ついてません。答えが思いついていない。

あなたは、まだ現地に行ってないからね、現地の状況がどんな状況かわからないからね、この図面だけで分かることはないかな?

アシスト発動したが、まだ確信見えず。答えに詰まる。

商業地域のため、メイン道路は繁華街で立地が良いためです。

完全に方向を見失っている。確信ついてなさ過ぎです。

あなたはね、現地に行ってないからね、現況は分からないんだけどね。
ここは商業地域なんだけどね、その下の方に何か書いてあるよね。

アシスト発動しました。しかし、回答が見えてません。

防火地域です…。

確信に気づかず。早よ気付け。

まぁ、防火地域なんだけどね。その上…。

ピーン!!
「容積率」の文字を見て、ようやく確信が分かりました。

メイン道路は幅員13mのため容積率の制限を受けませんが、側道は4mの幅員で6m以下のため容積率の制限を受けるためです。

そうだね。

やれやれ、やっと気づいてくれてかと、思われたはず・・・。

じゃあね、どれくらいの制限を受けるの?商業地域だよ。

10分の6です。

10分の4と10分の6の2択で一瞬迷うが、確か、商業地域の方が制限が緩かったはずと考えて、10分の6を回答しました。

そうだね。じゃあね、容積率は何%になるの?

頭の中、パニック継続中で、簡単な計算式にも関わらず、電卓を叩くが、指が思うように動かせておらず、計算違ってしまう。

120%です…。

ん?120%?
4かける~

もう一度、電卓を叩き直す。
幅員4m×6÷10×100=240%

240%です。

そうだね。240%だね。

じゃあね、本件に関する専門職業家はどんな人がいる?

・はい、まずは相手が弁護士を立てているため、こちらも弁護士を立てて交渉するお願いをします。
・不動産の売買があるので、司法書士に所有権移転登記をお願いします。
・不動産の媒介について、宅地建物取引士にお願します。
・それと、先ほどもお伝えしました不動産鑑定士に不動産の取引価額の算定をしてもらいます。
・土地家屋調査士に、境界線の確認や実測をお願いします。

メモには専門職業家を箇条書きしていて、上記の他、税理士もメモ下記していたが、相談者が税理士にお願いすることないと判断し、
税理士については答えませんでした。
すると…

じゃあね、Dさんがね、不動産を売却した際、あなたに確定申告をお願いしたいと言われたら、どうします?

確定申告については、税理士にお願いいたします。

いや、あなた詳しそうだし、お金を払うから、やってよって言われたら?

FPは、税務代理や代理申告は出来ませんので、税理士にお願いします。

そうだね。何でダメなの?何法違反になるの?

税理士法違反となります。

そうだね。では、質問は以上です。お疲れさまでした。

ありがとうございました。失礼いたします(礼)。

Part2の面接を終えた後の感想

まずは、part2の面接も、優しいタイプの面接官で良かったと思いました。

面接官のアシストは、何度も受けましたし、たどたどと答える場面もありましたが答えられるものは、答えられたので、何とか合格出来るのではないかと感じました。

緊張から解き放たれ、2問の面接を終えた受験者から帰ってよいとされていたため、荷物をまとめて、会場を後にしました。

帰りの電車の中で、FP受験を振り返ってました。1級の受験勉強では、最初は知らない事が多く、覚える事もたくさんあるため、問題を解いても分からないところだらけでした。でも、2回転目、3回転目と進めていくうちに、解ける問題が増え、分かる問題が増えてくると、勉強が段々と面白くなってきました。学科試験を終えて、手ごたえを感じると、「楽しかったな」「やって良かったな」と思いました。面接試験の勉強も、最初はどんな風に面接が行われるのか、どんな勉強をしたらいいのか戸惑いましたが、テキストを何周か読んでるうちに、面接対策も分かってきて、内容も更に理解が進んできたと感じて、楽しくなりました。面接対策はある程度できたと思っていたので、答えられないものが出ても仕方ないと腹をくくって面接に臨みました。受験後、やりきった感があったし、多分合格の手応えもありましたが、もし不合格だったとしても、また挑戦すればいいんだという気持ちでした。

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