確定申告書を提出した後に、計算等に誤りがあったことに気づいた場合は、どうすればいいのでしょうか。
この場合、確定申告の期限内か期限後かで、取り扱いが異なります。
所得税の確定申告は3月15日が申告期限・納期限となっていますが、期限が土日祝日等に該当する場合は、その翌日が期限となります。
今年(2020年)は、3月15日が日曜日であるため、本来であれば3月16日が期限でしたが、コロナウイルス感染拡大を懸念して、期限が4月16日に延長されています。
確定申告書の申告期限内の場合
申告期限内に計算誤り等に気付き、申告期限までに正しい申告書を提出できる場合であれば、正しく計算した確定申告書を申告期限までに提出すれば、後から提出したものが、確定申告書として提出したものとして受理されます。
その際には、訂正申告である旨を記載して提出します。
確定申告書の申告期限後の場合
提出した申告書に計算間違い等の誤りがあることに気づいたのが、申告期限後であっても訂正することは可能です。
税額を多く申告していた場合は「更正の請求」を行うこととなり、税額を少なく申告していたときは「修正申告書」を提出し、差額の税額を納付する必要があります。
納税については延滞税がかかるため、なるべく早く行う必要があります。
選択できる方法が複数ある場合の選択違いは、計算誤りではない
所得税の確定申告を計算するとき、選択できる方法が複数あるものがあります。
一例として
配当所得の計算を総合課税又は分離課税とするか。
特定口座(源泉徴収あり)内で得た株式の譲渡損益や配当の確定申告をするか、しないか。
選択できる方法が複数ある場合に、どちらか一方を選択して確定申告を行い、申告期限後にもう一方を選択し直すための修正申告又は更正の請求をすることは出来ません。
(例えば、配当所得を分離課税として確定申告をしていた人が、申告期限後に分離課税に選択したいというようなことは出来ません。)
これはどちらの方法も、計算誤りではないためです。
複数計算方法がある方法を納税者が選択して提出した確定申告書は正しく計算された申告書として受理されています。
提出した確定申告期限後に修正申告や更正の請求を行うことが出来るのは、計算誤りがあった場合とされています。
誤りやすい事例として、株式の譲渡損益に関するもの
医療費控除を受け還付申告した方が、実は特定口座(源泉徴収あり)で株式の売買を行い譲渡損失があったが、その分は確定申告の計算に含めていなかった。
翌年、同口座内で株式の売買で利益が出た。上場株式の損失は3年間繰越しができ、利益と相殺できることを聞き、源泉徴収された税金を取り戻すための確定申告をしたいと考えた。
⇒この納税者は、前年に医療費控除を受けるために確定申告をしています。この際に、上場株式の譲渡損失は確定申告しないと選択して申告しているため、この申告は正しく計算された申告となります。そのため、期限後に、株式の損失を繰り越すための申告は出来ません。
所得税法 通達
(同一人から2以上の申告書が提出された場合)
120-4 法定申告期限内に同一人から法第120条に規定する申告書、法第122条に規定する申告書又は法第123条《確定損失申告》に規定する申告書のうち種類を異にするものが2以上又は種類を同じくするものが2以上提出された場合には、特段の申出(法定申告期限内における申出に限る。)がない限り、当該2以上の申告書のうち最後に提出された申告書をもって、それぞれの規定により提出された申告書とする。
(注) 上記の取扱いは、法定申告期限内においては、事務に支障のない限り、申告書の差替えを認める趣旨のものであるから、先に提出された申告書に還付金が記載されており、かつ、その還付金につき既に還付の処理が行われていたような場合には、この取扱いは適用できないことに留意する。参考:国税庁HP 法令解釈通達より