消費税・インボイス

旧姓使用の個人事業主がインボイス登録申請する前にするべきこと

 いよいよ令和5年10月1日よりインボイス制度が開始します。インボイス発行事業者へ登録をすると、インターネットにて公表されます。旧姓使用の個人事業主の方がインボイス発行事業者に登録しただけでは、インターネット上には旧姓の公表がされません。旧姓で公表されるための手続き方法について見ていきます。

 私自身が旧姓で業務を行っており、インボイス登録申請の際に分かったことがありましたので紹介させていただきます。

インボイス発行事業者になるためには事前登録が必要

 インボイス制度開始時から、インボイス発行事業者になるためには、令和5年3月31日までに税務署への事前登録が必要となります。

インボイス発行事業者に登録すると、インターネットで公表される

 インボイス発行事業者に登録すると、インボイス事業者公表サイトに公表されます。これは、偽のインボイス発行を抑制するためのようです。

参考

インボイス公表サイトに公表されるもの(個人事業者)

  • 氏名
  • 屋号(任意)
  • 登録番号
  • 登録年月日
  • 登録取消年月日、登録失効年月日

 しかし、旧姓使用されている個人事業者の方が登録すると、住民票に記載されている氏名で公表されることとなるため、インボイスを発行しても、インターネットに公表されている氏名とインボイス(適格請求書)の氏名が異なることとなり、不具合が生じます。

 旧姓使用者がインボイス登録発行事業者として、インターネット上に公表される氏名を旧姓で公表する場合には、別途届出書が必要となります。

インボイス発行事業者として登録するための2つの手続き

 旧姓や屋号を公表する場合の、提出する様式は下記①の他に②が必要となります。

① 適格請求書発行事業者の登録申請書

 インボイス発行事業者になるためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出が必要となります。

② 適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)届出書

 屋号旧姓を公表したい場合には、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)届出書」の提出が必要となります。

 旧姓で仕事をしている方で本名を明かしたくないという方については、「氏名に代えて(旧姓を)公表」を選択することが可能です。
また、本名と旧姓を併記して公表する方法も選択が可能となっています。

しかし、上記2種類の書類を提出する前にすべきことがあります。

市区町村での旧姓併記の事前手続き

 インボイス発行事業者として登録し、公表内容を旧姓とする場合には、インボイス登録申請をする前に、市区町村にて住民票への旧姓併記の手続きが必要となります。

参考

 個人事業者がインボイス登録申請の際に旧姓公表の届出書を提出すると、インボイス登録センターでは、マイナンバーをもとに住民票の内容確認をするようです。

 住民票に氏名と旧姓が併記されているのを確認したうえで、インボイス事業者(適格請求書発行事業者)としての公表手続きを進めるようです。

 住民票に旧姓併記がされてないまま、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)届出書」を提出すると、記載誤りと認識され、提出した届出書が受理できないとのことです。

旧姓にてインボイス公表サイトに表示させるためには、インボイス登録申請の前に市区町村で旧姓併記の手続きが必要となります。

step
1
市区町村で住民票に旧姓併記の手続きをする。

 お住まいの市区町村へ旧姓が確認できるものとして戸籍謄本を持っていき、住民票に旧姓併記の手続きをしてもらいます。

(お住まいの市区町村と本籍の市区町村が一緒で、窓口で旧姓が確認できる場合は、戸籍謄本は不要な場合もあるようです。
詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。)

 住民票を取得する必要はありませんが、手続きが完了すると、住民票に旧姓がどのように併記されているかの見本を見せてくれます。

 確認が出来たら、次のステップに進めます。

過去のこちらの記事もおすすめ

 参考までに、住所地と本籍の市区町村が異なる場合に、マイナンバーカードがあればコンビニでも戸籍謄本の取得が可能です。(対応している自治体のみとなります。)その手続きに関する過去の記事がありますので、よろしければ、こちらもご確認ください。

step
2
適格請求書発行事業者の登録申請書を提出する。

 いよいよ、インボイス登録申請となります。

 登録申請してから登録通知されるまでの期間については、こちらで確認できます。

step
3
適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)届出書を提出する。

次の場合には、適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)届出書の提出が必要です。 

POINT

インボイス公表サイトに公表されるもの(個人事業者)

  • 氏名に代えて旧姓を公表する場合
  • 氏名と旧姓を併記して公表する場合
  • 屋号を追記して公表する場合
  • 外国人の方が住民票に併記された通称を公表する場合etc...

参考:郵送による提出先

郵送によるインボイス登録申請の提出先は管轄のインボイス登録センターとなります。

インボイス登録センターの管轄地域

各局(所)管轄地域
札幌国税局インボイス登録センター北海道
仙台国税局インボイス登録センター青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県
関東信越国税局インボイス登録センター茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 新潟県 長野県
東京国税局インボイス登録センター千葉県 東京都 神奈川県 山梨県
金沢国税局インボイス登録センター富山県 石川県 福井県
名古屋国税局インボイス登録センター岐阜県 静岡県 愛知県 三重県
大阪国税局インボイス登録センター滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県
広島国税局インボイス登録センター鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県
高松国税局インボイス登録センター徳島県 香川県 愛媛県 高知県
福岡国税局インボイス登録センター福岡県 佐賀県 長崎県
熊本国税局インボイス登録センター熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
沖縄国税事務所インボイス登録センター沖縄県

e-Taxにて送信する場合には、住所地の所轄税務署が送信先となります。

まとめ

まとめ

  1. インボイス発行事業者の登録をするかを検討する。

     

  2. 業務上、旧姓で請求書を発行していて、インボイス発行事業者として登録手続きをする場合には、インターネット上のインボイス公表サイトに、どのように公表されるかを検討する

    ●氏名のみを公表する➡適格請求書発行事業者の登録申請書のみ提出
    ●氏名に代えて旧姓を公表する。➡3⃣へ
    ●氏名と旧姓を併記して公表する。➡3⃣へ

     

  3. お住まいの市町村に行き、住民票への旧姓併記の手続きをする。
    本籍地と住所地の市町村が異なる場合には、旧姓が確認できる書類(戸籍謄本等)を持参する。

     

  4. 住民票に旧姓併記されているかの確認をする。

     

  5. 「適格請求書発行事業者の登録申請書」及び「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)届出書を作成する。

     

  6. 作成した申請書及び届出書をe-Tax又は郵送にて送付する。

 

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